心房細動
心房細動は心房内に不規則な興奮が多発した状態の不整脈で、動悸・胸苦しさ・気分の悪さ・冷や汗といった症状を認めることがありますが、発作に気づかずに健康診断等でたまたま見つかることも多くあります。心電図では、脈の間隔がバラバラで基線がギザギザなのが特徴です。(図①)
加齢により発症しやすくなり、高血圧・心不全・糖尿病・心臓弁膜症・心筋梗塞・甲状腺機能亢進症などが心房細動発症のリスク因子として知られています。飲酒・精神的ストレス・睡眠不足も発症の誘因になり、近年増加傾向にあります。
心房細動が起こると、心房内の血流は停滞し、血栓という血の塊が形成され、脳梗塞などの血栓閉塞症を引き起こす原因になります。また心房細動が続くことで心機能が低下し、心不全の原因にもなります。
心房細動は、最初のうちは心房細動が起きても自然に停止する「発作性心房細動」の状態ですが、その後徐々に長時間持続する「持続性心房細動」に移行します。(図②)
以前は心房細動に対して抗不整脈薬による薬物療法が主体でしたが、近年は一剤以上の抗不整脈薬を投与しても効果が不十分である場合に、経皮的カテーテル心筋焼灼薬(カテーテルアブレーション)による治療が行われるようになりました。
左心房にある肺静脈内からの異常興奮が心房細動の原因となることが解明され(図③)、肺静脈からの興奮が左心房へ伝導しないように焼灼します。(電気的肺静脈隔離術:図④)
持続性心房細動の場合には追加の治療を必要とする場合があります。