脳出血とは
原因
脳の血管が破れて、その先に酸素や栄養が届かなくなり組織が壊死、または壊死に近い状態になることが原因です。
脳の血管が破れる原因として最も多いのが高血圧です。長年高血圧を放置していると、脳内の血管に動脈硬化が進みます。この血管に高い圧力がかかった状態が続くと、血管の壁がもろくなり、非常に出血しやすい状態になるのです。
症状
残念ながら、はっきりとした前兆はありません。頭痛や目の見えにくさを訴える方もいらっしゃいますが、多くありません。ただ、出血の起こる脳の部位によって異なることがわかっています。
出血の多い部位
被殻出血
最も多い部位で、脳出血の約半数を占めています。出血が被殻だけであれば、症状は軽いですが、基底核部にまで出血が及ぶと、体の半身にマヒや感覚障害がみられるようになります。 発作時には頭痛がして意識が薄れることが多いようです。死亡率はそれほどは高くありませんが、意識状態や出血量によって、手術を検討していきます。
視床出血
脳出血の約3割にみられます。症状にはしびれ、マヒ、感覚障害などがあります。命が助かった場合でも、意識障害やしびれ、半身麻痺などの後遺症が残ってしまうケースがほとんどです。また、合併症として「急性水頭症」が起こることがあるので、手術がおこなわれます
小脳出血
脳出血の約1割でみられます。嘔吐、激しい頭痛、歩行障害、意識障害などの症状があらわれます。血腫の大きさによって、手術を検討していきます。
皮質下出血
脳出血の約1割にみられ、大脳皮質のすぐ下で出血が起こります。他の脳出血にくらべて比較的症状が軽く、予後も良好なケースが多いとされます。症状には、けいれんや軽い意識障害などがあります。
脳幹出血(橋(きょう)出血)
脳出血の約1割にみられ、急激に意識を失う危険な状態になります。症状には、意識障害、呼吸障害、四肢のマヒ、眼球運動障害などがあります。発作を起こすと数分で昏睡状態になり、数時間で死亡するケースもあるため、早急に治療をすすめていきます。
高血圧性脳内出血
予知できるか? 微小出血が予知するか?
MRI T2*にて多発性の微小出血を認めていた。その後、右視床出血をきたした。
治療・手術
症状が現れたときの対処の速さや的確さで、その後の経過の良し悪しが決まってしまいます。脳出血が疑われる症状があらわれたら躊躇せず直ちに救急車を呼んで、適切な治療を開始してください。
高血圧性脳内出血の治療
- 開頭術
- 定位的血腫除去術
- 手術適応、予後診断: MRI
症例
右被殻出血:開頭血腫除去術
- 左)術前: 左片麻痺上肢1/5、下肢3/5
- 右)退院時Brunnstrom Stage: 上肢III~IV、下肢IV、指IVまで回復
脳神経外科 溝渕 光