脳卒中予防十か条
脳卒中は予防に勝る治療はありません。 日本脳卒中協会が作成した、「脳卒中予防十か条」をご紹介します。
1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
脳卒中が血圧の高い人に起こりやすいことはよく知られています。 高血圧になると、脳の血管に強い圧力がかかるため、脳の血管が詰まったり破れたりする危険性が高くなります。 そのため、高血圧は脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のいずれにも深く関係しています。 血圧が高い人は、医師の指導に従って血圧の管理を心がけましょう。
2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
糖尿病を放っておくと、長期にわたる高血糖状態により全身の血管がもろくなり、さまざまな合併症を引き起こします。 脳の血管も例外ではなく、糖尿病の人は糖尿病でない人の2~4倍も高い頻度で脳梗塞になるといわれています。 糖尿病を指摘されたら、医師の診察を受け、正常な血糖値を維持するように努めましょう。
3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
規則正しく動いているはずの心臓に何らかの障害があり、脈のリズムが乱れることを不整脈といいます。 とくに心房細動は、左心房が痙攣するように収縮するため、血液がスムーズに流れずにうっ滞して、血栓ができやすくなります。この血栓が脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞になります。心房細動はとくに高齢者に多い不整脈。 脈のリズムが不規則だと感じたら、すぐに病院を受診しましょう。
4. 予防には タバコを止める 意志を持て
タバコは「百害あって一利なし」。 喫煙をすることによって、ガンや心臓病などさまざまな病気にかかるリスクが高くなります。 脳卒中についても例外ではありません。喫煙により血液は濃くなり、血圧も上昇して動脈硬化が進み、脳卒中を起こしやすくなります。禁煙により脳梗塞のリスクが1/2~1/3に減少します。
5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
適度にアルコールを飲む人は、まったく飲まない人よりも脳卒中になる危険がやや少ないといわれます。 ただ、適量を過ぎれば逆に体の毒になり、脳卒中になる危険性も高まります。適量を守って、大量の飲酒は避けましょう 。
適量の目安(一日):
ビール500ml、日本酒1合(180ml)、焼酎0.5合(90ml)、ウイスキーダブル1杯(60ml)、ワイングラス2杯(240ml)
6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
血中のコレステロールのうち、LDL(悪玉)コレステロールが増えると、動脈硬化が進みやすくなります。一方、HDL(善玉)コレステロールは、血管についたLDLコレステロールを除去して動脈硬化が進まないように働きます。動脈硬化、ひいては脳卒中を防ぐためには、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことが必要です。高脂血症を指摘されたら、放置しないですぐに治療を始めましょう。
7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
脳卒中を防ぐには、食事の内容にも注意を払う必要があります。とくに塩分、脂肪分の多い食事は、高血圧、高脂血症などの病気を引き起こし、脳卒中のリスクを高める結果になります。
食塩の一日摂取量: 健康な人10g未満 / 高血圧の人6g未満
8. 体力に 合った運動 続けよう
運動は、脂肪や糖質の代謝を促進するだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを増やす効果もあります。 肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症など生活習慣病の予防や改善に役立ち、ひいては脳卒中の予防にもつながります。
一日あたりの運動:歩くことから始めよう。一日30分以上、できれば60分(8000~1万歩)。息がはずむ程度のスピードで。
週一回の運動:速歩、自転車で60分。ダンスで55分。水泳、エアロビクスで40分。ジョギング、テニスで35分。
9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
高血圧や糖尿病、高脂血症など、さまざまな生活習慣病の原因となる肥満。 肥満の解消は、脳卒中の予防にも欠かせません。太り気味の人は食生活や運動不足を見直して、減量を目指しましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
肥満の判定基準:BMI 25以上 理想的な数値は22といわれています
10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院
- 脳卒中による命の危険を防ぎ、後遺症を軽くするには、早めの治療が第一。 もし、ご自身や周りの人に以下の状態がみられたら、一刻も早く専門医を受診してください。
- 意識がない 呼びかけても答えない
- 頭がハンマーで殴られたように痛い
- 急に手足が動かなくなった、しびれが起こった(特に半身の)
- 急に片方の目が見えなくなる、見える範囲が狭くなった
- 急にろれつが回らなくなった
- 急に話せなくなった、言葉が理解できなくなった
- 突然のめまい、力はあるのにバランスがとれず立てない、歩けない、手足がうまく動かせない
- 全身けいれん
脳神経外科