- 反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)と認知神経リハビリテーションの併用療法
- ボツリヌス療法と認知神経リハビリテーションの併用療法
- 経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と認知神経リハビリテーションの併用療法
2週間の集中リハ(入院・外来)を基本的に実施しています。しかし、お仕事の関係で2週間のリハビリを受けられない方はご自宅でできる自己リハビリテーションの指導と通われている施設への紹介状をお渡ししています。
当院で実施しているrTMSと認知神経リハビリテーションの併用療法の治療結果を国際比較しています。
対象は当院rTMSを実施したのべ62例の中で、脳卒中発症後1年以上が経過しているのべ52例から国際的な治療結果を報告している対象者と類似した手指を動かすことができる症例のべ32例を抽出しました。さらに、継続的にrTMSを実施している症例は当院でrTMS施行を初めて実施した12例(平均年齢63.92±7.22歳,発症後経過平均69±64.30ヶ月:発症後1年~20年)の2週間の治療結果を対象としました。当院の治療結果を国際的に改善していると認められている論文の治療結果と比較しました。比較した項目は上肢の運動機能Wolf Motor Function Test(WMFT)です。WMFTは運動項目と物品操作項目に要する時間と動作の質の評価(健常に近いパターンで得点が高い)を行います。治療結果の比較は臨床的に意義があるかないかを示す方法臨床的に有意な最小差(minimal clinically important difference:MCID)1)と1700名以上の改善度を分析した大規模研究の変化量2)を用いました。結果は以下の表の通り当院の治療結果は国際的に改善が認められている結果と負けず劣らず良い結果が得られています。
Wolf Motor Function Test(WMFT):上肢の運動機能評価(運動項目と物品操作項目に要する時間を測定)
Functional Ability Scale(FAS):各項目を行う際の動作の質を評価(健常に近いパターンで得点が高い)
症例からは「指の動きの違いが初めて分かった」「脳で判断している」「懐かしい感じがする。病前はこんな感じで動かしていたと思う」等の発言が聞かれ、自分の手としての感覚(主体感)をともなった指の動きに変わっていることがわかります。
1) Lang CE, Edwards DF, Birkenmeier RL, Dromerick AW. Estimating minimal clinically important differences of upper-extremity measures early after stroke. Arch Phys Med Rehabil, 2008
2) Kakuda W, Abo M, Sasanuma J, Shimizu M, Okamoto T, Kimura C, Kakita K, Hara H. Combination Protocol of Low-Frequency rTMS and Intensive Occupational Therapy for Post stroke Upper Limb Hemiparesis: a 6-year Experience of More Than 1700 Japanese Patients. Transl Stroke Res 7. 2016
※認知神経リハビリテーション:感覚情報から身体/行為をイメージし認知しながら運動することで感じながら動くことを学習するリハビリテーションです。動く身体や対象物を認知して運動する認知運動課題でリハビリテーションを進めていきます。