くも膜下出血とは
脳はくも膜という薄い膜で覆われていて、脳とくも膜の間をくも膜下腔といいます。くも膜下腔には脳脊髄液が循環しており、脳に酸素と栄養を与えるための太い動脈が張り巡らされています。くも膜下出血は、このくも膜下腔に起こる出血のことです。
脳梗塞や脳出血は中高年や高齢者に発症することが多いのに対し、くも膜下出血は40代、50代の方にも発症しうる病気です。男性に比べて女性の発症が約2倍多いといわれています。
脳卒中の中で、もっとも死亡率が高い病気です。
原因
くも膜下出血の多くは、脳動脈瘤が破裂することによって起こります。くも膜下腔に血液が急速に広がり、頭蓋内圧が急激にあがります。
ISUIA(国際未破裂脳動脈瘤調査)報告(2002)
27th International Stroke Conference (Feb 9, 2002)
5年間の自然破裂率
テント上動脈瘤: 3~6mm: 0% 、 7~12mm: 2.6%、 13~24mm:14.5%、 25mm~:40%
テント下動脈瘤: 3~6mm:2.5%、 7~12mm:14.5%、 13~24mm:18.4%、 25mm~:50%
部位-サイズ別破裂率
2~6mmの動脈瘤: IC-Pcom 年0.6%、 BA-tip 年1.25%
7~9mmの動脈瘤: IC-Pcom 年2.5%、 Vertebro Basilar 年3.1%
結論
1cm未満でも7mmより大きいものは年0.7%の確率で破裂。また6mm以下でもBA-tipやIC-Pcomは要注意。
症状
今までに経験したことのないような激しい頭痛が、突然起こります。数回にわたって繰り返される場合もあります。また、激しい発作の前に、30~40%の人が前ぶれの小発作を経験しているといわれています。
治療
死亡率が高い病気であるだけに、くも膜下出血が疑われる場合は 躊躇せず直ちに救急車を呼んで、適切な治療を開始してください。
- 脳動脈瘤
- 直接手術-ネッククリッピング術
- 血管内治療-脳動脈瘤コイル塞栓術
- 巨大脳動脈瘤-バイパス術
- 出血率:UCAS-JAPAN (2001~) 中間報告(2002年10月)
破裂率は年0.7%、特に5mm以上の動脈瘤については破裂率年1.1%と報告
症例
巨大脳動脈瘤 くも膜下出血 ネッククリッピング術
海綿状静脈洞動脈瘤 high flow bypass術
脳底動脈瘤 コイル塞栓術
予防
血管には、常に血液が流れ、血圧により負荷がかかっています。年齢を重ねるに従って血管の弱い部分に動脈瘤ができると考えられます。
脳動脈瘤は破裂するまで症状がありません。血圧が高い方は日頃から血圧管理を行い、健康的を心がけましょう。また、脳ドックなどで定期的に検査を受けることをおすすめします。